こむらがえりにかかわる病気とは? 3「腰部脊柱管狭窄症」

2016.01.25

加齢などにより、背骨にある脊柱管が狭くなってしまい、神経を圧迫することで痛みが生じます。腰椎椎間板ヘルニアに比べ、中高年に発症することが多い病気です。

 

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どんな病気?

脊柱管が狭くなることで、神経が圧迫される病気です
脊柱管は脊髄の神経が通る管で、椎間板、椎骨(椎体・椎弓)、黄色靱帯などで囲まれています。年をとると椎間板の膨張・変形や、黄色靱帯が厚くなることなどにより、徐々に脊柱管が狭くなり(これを「狭窄」といいます)、それによって神経が圧迫を受け、痛みやしびれなどの症状があらわれます。
症状には個人差があります。強い腰痛や下肢の片側に下肢痛の症状が続く腰椎椎間板ヘルニアと違って、腰部脊柱管狭窄症では腰痛はあまり強くない人が多く、立体や歩行後しばらくして症状が出たり、悪化したりします。腰の違和感が強くなり、足のしびれなどの症状が続くようなら、一度整形外科を受診しましょう。放置すると症状が進行してしまいます。

 

どんな症状があるの?

腰痛や足のしびれのほか、間欠跛行が主な症状です
神経が圧迫されることで、腰の周りが重い、違和感・張り感、足に力が入らない、しびれや痛み、こむらがえりなどの症状があらわれます。進行すると、下肢の力が落ちる、肛門周囲のほてり、尿の出が悪くなる、逆に尿が漏れるなどの症状がみられることがあります。もっとも特徴的な症状が、長い距離を続けて歩くことができなくなる「間欠跛行」です。背筋を伸ばして立ったり、しばらく歩くと、太ももや膝から下にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。けれども、少し前かがみになったり、腰かけたりするとしびれや痛みは治まります。続けて歩ける距離は、300~500メートルで、脊柱管狭窄のレベルによって違いますが、進行するに従って、連続して歩ける距離が短くなっていきます。

 

診断は?

症状を確認して、レントゲン・CTなどで診断します
まずは、と問診と身体所見、神経反射や知覚異常の有無、筋力などを調べます。症状のあらわれる場所によって、どの神経が圧迫されているのか推測することができます。そのうえで、確認のために画像検査を行います。X線(レントゲン)のほか、より詳しく診断するためにはCT、MRIなどの検査が必要です。CTでは骨の状態、MRIでは椎間板や神経の状態を詳しくみることができます。
診断基準の4項目すべてに該当する場合に、腰部脊柱管狭窄症と診断されます。

 

治療は?

まずは薬やリハビリで症状の改善をはかります
ほとんどの場合は、薬物療法、リハビリテーションなどを行いながら様子をみる保存療法が選択されます。薬物療法では、一般的な鎮痛薬のほかに神経の血流を促進する血流改善薬が使われます。また、痛みが強い場合は神経ブロックが行われます。
牽引などの理学療法が行われることもありますが、日常生活においても、少し工夫することで、かなり症状を軽減できます。重いものを持ち上げたり、腰を曲げてひねったり、長時間同じ姿勢を続けるのは腰に負担をかけるので、できるだけ避けましょう。仕事で長時間座っていなければならない場合などは、定期的に休みをとり腰を伸ばすなど工夫します。また、まっすぐに立ったり背中を反らすと神経が圧迫されて症状が出やすいので、痛みが強いときには、なるべく前かがみで楽な姿勢をとりましょう。
歩くときには杖をついたり、シルバーカーを押して腰を少しかがめるように心がけます。立ち仕事のときは、片足を踏み台の上にのせると腰椎の前湾(前に凸型に曲がっている状態)がとれ、腰の神経の圧迫が軽くなります。また、自転車での移動は体がやや前傾となるため痛みが起こりにくく、よい運動にもなります。
また、骨を支える腹筋や大殿筋(お尻の筋肉)などの筋肉を鍛える運動療法も、痛みの軽減に効果的です。

 

生活に支障がある場合は、手術も検討

症状が改善せず日常生活に支障がある場合には、手術も選択されます。手術の基本は、狭くなった脊柱管を広げ神経の圧迫をなくす神経除圧術で、骨や肥厚した黄色靭帯を削り取る椎弓切除術が一般的です。しかし、骨をたくさん削ることで腰痛が残ってしまうなどの問題もあるため、骨を削る範囲を最小限にした椎弓形成術が生まれました。最近では内視鏡を使った患者さんに負担が少ない手術「内視鏡下椎弓切除術(MEL:メル)」「経皮的内視鏡下椎弓形成術(PEL:ペル)」も行われるようになり、QOL(Quality of Life:生活の質)の改善(ゴルフがしたい、旅行に行きたいなど)を求めた手術例も増えています。特にPELは、単椎間の狭窄の場合、日帰りや1日の入院で手術が可能となりました。

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