つり、こむら返りのQ&A

2016.01.20

Q.「つる」とは、どんな状態のこと?
A.筋肉が痙攣を起こして収縮し、ロックされた状態のことです。

筋肉が急に収縮し、そのまま硬直。自分の意志では痛くて動かせなくなってしまう状態を「つる」といいます。医学用語では「有痛性筋痙攣」「筋クランプ」などとも呼ばれます。
私たちは、ふだん身体の筋肉を自分の意志で動かしています。ところがなんらかの原因で、自分の意志とは関係なく、筋肉が突然、痙攣を起こしてしまうことがあります。「つる」とは、痙攣を起こすことにより強く収縮した筋肉がロックされ、痛みをともなったまま動かせなくなってしまう状態です。特に、足のふくらはぎがつることが多く、水泳やマラソン、サッカーやテニスなどスポーツをしているとき、登山やウォーキングの最中、寝ている間などにも起こります。妊娠中の人にも多いほか、加齢とともに増えることも知られています。

 

Q.「つる」と「こむらがえり」は同じ?
A.こむらがえりはふくらはぎがつった状態。ふくらはぎ以外もつることがあります。

筋肉の痙攣は、ふくらはぎの腓腹筋という筋肉に起きやすいことが知られています。腓腹筋は外側頭の2つの筋肉で構成されていて、大腿骨に始まり、下方はヒラメ筋と合わさってアキレス腱となる筋肉です。昔はふくらはぎを「こむら(腓)」と呼んだことから、主にふくらはぎがつった状態を「こむらがえり」といいます。
しかし、筋肉がつる場所は、ふくらはぎだけではありません。足の側面や指、腱の付近、足首や太もも、土踏まず、そのほか首、肩、背中、腰、腹部など、さまざまなところでも筋肉の痙攣は起こることがあります。
一般的には誰にでも起きるもので、病的な原因がない場合がほとんどですが、なかには重い病気が原因となっていることもあるので、痛みが強かったり、同じ症状を頻繁に繰り返す場合は注意が必要です。
全身につる症状が出る進行性の病気「全身こむらがえり病(里吉病)」という難病もあります。大人になってから発症することもありますが、多くの場合10歳前後で発症し、進行性に症状が悪化します。筋肉の痙攣のほかに、脱毛、下痢などの症状がみられます。

こむら返りについて「こむらがえりにかかわる病気とは?」

 

 

Q.筋肉に痙攣が起きてしまうのはなぜ?
A.筋肉のセンサーの働きが悪くなり、痙攣が起こると考えられています。

筋肉には、強い負担がかかったときなどの損傷を防ぐため、極度な伸張・収縮にブレーキをかけるメカニズムがあります。そのメカニズムを担うのが筋紡錘と腱紡錘です。筋紡錘は伸びすぎを、腱紡錘は縮みすぎをコントロールする働きをします。
筋紡錘は筋肉をつくっている筋繊維の中にあるセンサーで、筋肉が引き伸ばされると、その長さを感知し、脊髄に情報を送ります。そして、筋肉が伸びすぎて断裂しないよう「縮め!」と指令を出すのです。この反応を「伸張反射」といいます。わかりやすい例では、かっけの検査などで用いられる「膝蓋腱反射」があげられます。足裏が地面につかない状態で椅子に座り、膝下の部分をたたくと瞬間的に大腿四頭筋が伸び、これを筋紡錘が感知し脊髄に伝えることで、「縮め!」の指令が出て膝下部分が跳ね上がる現象です。
同じように腱にも腱紡錘(ゴルジ腱器官とも呼ばれる)という腱の伸展を感知するセンサー器官があります。腱は自ら伸び縮みすることはありませんが、筋肉が緊張する(縮む)と腱が伸び、筋肉が縮むというメカニズムになっています。
腱紡錘は、「これ以上、負担がかかると筋肉や腱が断裂する」という危険を回避するため筋肉を弛緩させる指令を出します。この反応を「自己抑制」といいます。
無意識のうちに筋紡錘や腱紡錘が働き、私たちの筋肉のバランスをとっています。筋紡錘、腱紡錘のセンサー自身の感度は、脊髄によって鍛えられ、調節されています。腱紡錘のほうがセンサー感度が高いので、日常的には、筋紡錘と腱紡錘が同時に働くことはありません。
つる症状は、腱紡錘の働きが鈍くなることで、筋肉を調整するシステムのバランスが崩れ、異常な収縮が起きている状態です。たとえば人間の足は、ふくらはぎの筋肉が緊張して縮むとアキレス腱が伸びる構造になっています。筋肉が過度に縮むとアキレス腱にある腱紡錘が、腱の伸びすぎを防ぐため、筋肉に「それ以上縮むな!」と指令を出します。このとき、何かのきっかけで腱紡錘が働かず、縮んだ筋肉が異常に収縮を続けてしまうと、こむらがえりが起きてしまうのです。

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